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自動運転の先に見据える技術はあるか

今号で特集する「第2回名古屋機械要素技術展」では、開催場所の特性もあり自動車や航空機部品を想定した技術が多く出品されると見られる。

自動車業界は、ハイブリッドカーやクリーンディーゼル、電気自動車などの登場で環境問題に応える低燃費技術を進化させてきたが、最近のトレンドはADAS(先進運転支援システム)など事故や渋滞を回避するための自動運転技術の開発を進めている。

自動車前方にある障害物を検知してドライバーがブレーキを踏まずとも自動で停止するといった技術は、一部の国内自動車メーカーが世界的にも高い評価を得ている。こうした技術はAIやIoTとも連携しながら完全な自動運転を実現するためにさらに進化していくのだろう。

自動化により事故を防ぐ安全技術が進化することは歓迎したい。一方で、車を運転する楽しさが徐々に失われてこないか心配だ。一例を挙げるとマニュアル(MT)車は市場のほんの一握りを占める存在になってしまった。数年前までは、MTを好む熱心な自動車愛好家は高価なスポーツモデルの最上グレードか、大衆車種の低価格グレードを選択するといった余地が残されていたが、今ではグレードにMTが完全に除外されてしまうケースもあり、前述のような選択すら奪われてしまった。メーカー側からしたら、多くの消費者がオートマチック(AT)車を求めているわけであり、一部の愛好家のために開発・部品コストをかけてMTを設定する理由が無くなってきているほか、自動運転技術とMTの相性が良くないなどの理由もあるのだろう。

MTを絶対に残すべきとは主張するわけではないが、運転する楽しさを車から完全に無くしてしまえば、車は単なる移動する道具となり、電車やバス、レンタカーといった交通手段と同じ土俵で競い合うことになり、これまで言われ続けてきた若者の自動車離れはさらに加速してしまう。こうした危機感をもち、走る楽しさを追求する方針に切り替えるメーカーや、再び走る楽しさをコンセプトにした自動車が最近になって登場してきていることには希望の光として期待したい。低燃費や安全技術で終わるのではなく、その先に走る楽しさを味わえる先進技術をメーカー各社が「そんな事言われなくても分かっているよ」と準備していると信じたい。

低燃費に貢献する軽量化技術やダウンサイジングターボなどに求められる耐熱性能、さらに今後は自動運転技術に対応するためセンサーや車載カメラなどの精密部品を締結するファスナー技術が求められてくる。勿論その先に走る楽しさを味わえる技術があるのであれば、それに応えていくはずだ。

2017/04/03 金属産業新聞