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震災から丸6年、他人事ではない惨事

先般の事務・オフィス用品通販大手の倉庫火災は、東京ドームに相当する約4万5000平方mを焼損、火勢沈静化まで6日間、完全鎮火まで12日間を要しただけに他の産業界にも大きな波紋を広げた。燃え易い商材が多く、縦横に張り巡らされたコンベアやピッキングロボット、ラック、仕分け装置などが障害となり、初期消火が難しかったことも大規模火災に繋がったようだ。

幸い、デリバリー面では大半のアイテムが他倉庫から在庫品を融通するなど2〜3日遅れで対応したものの、一般消費者向けネット通販の倉庫も兼ねていたこともあって、消失した同倉庫にしか在庫していない商品では到着が最長半月待ちとなったケースもあったとされる。

この出来事を通じ、東日本大震災の時に発生したサプライチェーンの寸断を思い起こした方も多いのではないだろうか。当初は多くの中小企業が貴重な人材や設備を失い、廃業に追い込まれただけでなく、サプライチェーンの寸断から製品・サービスが供給できず、結果的に顧客離れ→事業縮小→従業員の解雇という展開もみられた。結果、日本経済は20兆円以上(原発事故関連を除く直接的な被害額)もの大打撃を被った。

震災から6年経った現在、随所で復興がみられるものの被災当事者に残る“傷痕”はなかなか癒えない。本紙も前号(3月6日付)から、被災地ねじ企業(十一屋ボルト)における被害および復興レポートをお届けしている。改めて記憶に深く刻み込むとともに、現実を真摯に受け止め、その教訓を後世に活かしてもらいたいと願う。

冒頭触れたように、こと火災だけに限って言えば本紙関連の金属加工製品業界の場合、商材そのものは燃え難いだろうが、各種加工油・潤滑油類は欠かせないだけに、製造現場だけでなく取扱商社におけるそれらの管理・保管という意味では今回の惨事は決して他人事ではない。

近年では、地震はもとより鳥インフルエンザなど感染症、食品・薬品リスク、ネット社会全盛に伴うシステム障害から、従業員の高齢化、経営陣の後継者難など実に様々な事業継続を阻むリスクが存在する。特にサプライチェーン化された中では、顧客だけでなく仕入先や協力工場に対しても“リスク管理責任”を負うというのが現代の考え方である。

企業ベースでは本稿でも幾度か採り上げた事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメントシステム(BCMS)も脚光を浴びる機会が増えている。関西の業界団体では、BCP策定に関する研修会のみならず、南海トラフ地震などを想定した模擬訓練まで行われている。

(東日本大震災から)丸6年を迎え読者諸兄は何を考え、何を思われるだろうか。

2017/03/13 金属産業新聞