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ブランド戦略、補助金も活用できる

「甲州ワイン」の輸出が5年で20倍以上に拡大している。官の力も借りたブランド戦略が功を奏しているという。平成29年度の中小企業・小規模事業者の関係予算案は1810億円にのぼる。このうち経済産業省に計上されるものは1116億円と過去7年で最大となるという。

予算に含まれる「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」(もの補助)を活用している企業も多いが、ここでは同じく例年実施されている「ふるさと名物応援事業補助金」(JAPANブランド育成支援事業)に注目したい。

制度は、地域の優れた資源(ここでは技術を意味する)を活用した商品開発や販路開拓の経費を補助して、商品づくりやブランド構築の実現を目指して中小事業者の振興に貢献する目的がある。

ブランドは、ユーザーがその商品を選ぶ指標のひとつだ。ファスナーなどの部品においても製造したメーカーや販売する商社、また商品そのもののブランド力というものが問われてくる時代になる。ブランド価値の創造は今後の課題だろう。ただブランドと言ってもどのように確立していけば良いのかわからない企業も多い。

こうした中で、同制度は中小企業の持つ技術などを再確認してブランドとして育てることができるかを検討して、例えばブランドを海外展開していくのであればターゲット市場の分析から戦略の策定、展示会への出展や現地パートナー企業・代理店の確保などブランド確立までの道筋を立てるための資金を補助する。

対象事業の形態にもよるが、補助率は対象経費の3分の2、補助上限額は500万円で連携体による申請の場合は最大2000万円を補助する。対象経費はアドバイスを受ける専門家への謝礼や情報収集など調査に必要な旅費、特許等の取得に要する事業経費をはじめ、展示会など広報活動に要する販路開拓費、材料や設備を購入する試作・開発費―が含まれる。

過去に採択された事例をみると、微細・切削加工を得意とする中小企業が集積する栃木県鹿沼地域のメーカーが連携して医療機器をターゲットにした海外の販路開拓を行い、国内外の大手医療メーカーと取引を開始した例や、同じく精密加工業の集積地である諏訪地域の企業が集まり、デスクトップ型の卓上工作機械を開発。欧州展示会で高い評価を受けて現地の企業や研究機関との取り引きが生まれた例がある。前述の「甲州ワイン」の輸出や「下町ボブスレー」もこの制度を活用したプロジェクトのひとつだ。

こうして見ると中小企業では単独より連携してひとつの製品や技術をブランド化していく方が実現しやすいのかもしれない。ファスナー製品を如何にしてブランド化できるか。ヒントとなる事例は多い。

2017/03/07 金属産業新聞