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国家の運営と企業の経営

今月20日からドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任した。ねじ業界の団体も、ねじユーザーである工業製品を作る機械メーカー団体も、賀詞交換会では新政権によるアメリカの方針転換で、日本経済にどのような影響が出るか気がかりな旨の挨拶が壇上で話される事が多かった。

バラク・オバマ大統領は「初の有色人種大統領」として話題になり、今回大統領選に落選したヒラリー・クリントン氏も「初の女性大統領」になるかもしれないと話題になった。トランプ氏は白人男性だが政治家ではなく不動産業の経営者(事業家)であり、俳優出身のロナルド・レーガン大統領でもカリフォルニア州知事という政治家経験を経て大統領となったが、「初の公職未経験≠フ大統領」という「今までとは違う大統領」に変わりはなく、当面はアメリカの経営手腕≠ノ世界中が注視するだろう。

トランプ大統領が就任前に主張してきた事を、企業経営に当てはめると納得できて面白い。工業分野において、メキシコや中国をはじめとした新興国や日本からの輸入を制限=加工工程の外注・材料の仕入れを減らし内製化する。自社で必要な設備等は、外部から購入せずに自前で開発・製造する。国内の労働力市場は移民でなく自国民が就労できるようにする=業務を外部からの派遣でなく、自社の社員に任せる。

経営者としてのビジネスライクな判断基準・行動原理は経済政策だけでなく、軍事という文字通りの安全保障(セキュリティ)政策について兵力の展開か?撤退か?費用対効果を鑑みて今後どのような決断を下すのだろうか?提携先や取引先(同盟国や国交・貿易のある国)≠ヘ対応を迫られるだろう。

一方の日本では、昨年8月に天皇陛下が譲位(通称・生前退位)についての「お気持ち」を表明されたが、実務を歴史的に摂政・関白・将軍・総理大臣と任せてきても、企業でいえば創業家のオーナー≠ニもいえる立場の国家元首である。

「社長」が引退して「会長」となるように、諸々の法制度を改めて譲位は可能か?譲位できた場合の尊号は先例通りの「上皇」となるのか?元号は譲位に際し改元するのか?その場合は事前に新元号を公表するのか?―と既に様々な問題が発生し検討されている。

そもそも高齢となられて負担が大きい仕事量≠フままで、定年の無い生涯現役の就業形態≠ナあり、時期をみて後継者への承継≠しなかったのが問題という考え方もできる。政府は「一億総活躍社会」を提唱しているが、「ワーク・ライフ・バランス」を蔑ろにしてはならない。

国家の運営も企業の経営も、人間が構成している組織である以上、起こりうる問題と対処法は、似通ってくる。

2017/01/23 金属産業新聞