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「不確実性」の時代、“変化球”的発想の必要性

2017年の幕開けとなる東京市場は株高・円安で始まった。踊り場から緩やかな回復基調に転じつつある昨年末の景況感を引き継ぐ形で、政府も今年のGDP(実質国内総生産)で前年度比1.5%増と強気の見通しを立てており、とりあえずは安倍政権による4月(新年度)以降の「新3本の矢」に注目したい。

ただ、対外的には昨年6月の英国におけるEU(欧州連合)離脱、米大統領選の“トランプ・ショック”など世界的なポピュリズム台頭の流れと決して無関係ではいられない。TPP(環太平洋連携協定)を始めとする通商戦略の再構築が迫られるなかで、自由貿易の“旗振り役”として日本がどこまでリーダーシップを発揮できるのか、難しい役どころであることに変わりはない。

こうした中で国内の景況に目を移すと、本紙恒例の新年号アンケート調査結果でも、昨年7〜12月期は同1〜6月期比「小幅増」が前回(夏季)調査に比べ増加しているものの、あえて本稿では「横ばい」や「小幅減」が合わせて6割超あることに注目したい。加えて「小幅増」の主たる“牽引役”が自動車を始めとする「輸送機械」分野に負う点も、今後の成長性という観点からすると気になるところだ。

実際、東京や名古屋における“一極集中”からか、関西圏で年末年始の景況を聴いてみると「輸送機械」関連を除き総じて芳しくない。むしろ「輸送機械」関連に携わる企業でも、ビッグデータを活用したIoT(モノのインターネット)や自動運転技術の高度化などにより、従来の機構構成部品が今後どのように変わっていくのか“戦々恐々”としているところも少なくない。

現状はトランプ・ショック転じて“トランポノミクス”による期待感から、米国はドル安・株高・金利高の“トランプ相場”に沸いており、日本もしばらくは株高・円安の恩恵を受けていられるようだが、新年度からの新たな経済対策だけでなく根本的な構造改革が必要不可欠だ。

既にトランプ氏は年明け早々、トヨタのメキシコ工場新設に“口先介入”してきた。他方、日本政府はフランスとの間で、自衛隊と仏軍の災害救沿動に関する協定交渉入りで合意、南シナ海で海洋進出を強めている中国を念頭に、従来の米国頼み“一辺倒”ではなく欧州諸国の関与に期待を滲ませた。もとより両問題は本質が違うので一概に論じることはできず、今後の展開次第でどう変化していくか不明であることは言うまでもない。

ただグローバリズムに伴う「不確実性」とされる現代、こうした“変化球”的発想なり政策、企業戦略こそ必要ではないだろうか。今年こそ“飛ぶ鳥を落とす勢い”の景気回復を願わずにはいられない。

2017/01/16 金属産業新聞