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人材の確保を課題に

今年の課題のひとつに人材の確保を上げたい。

就職市場の調査会社によると、2017年卒業予定の大卒求人倍率は1・74倍と前年とほぼ同水準になった。日本ねじ商業協同組合連合会がまとめた平成27年度の「ねじ流通商社経営実態調査」では、従業員(代表者・役員・家族従業員・パートを除く)の平均賃金は、男性が32万円(前年比2万円減)、女性が24万円(同変わらず)となったが、地区別にみると東京や大阪で男性が各1万円増、愛知で同じく男性が3万円増など都市圏での高額シフト化が目立つ。

パート時給を見ても平均の最多レンジが「900〜1000円」(回答数の31%)と前年と変わらない主流を占めるが、前年比で回答数の変化があるものの「1100円以上」層のウエイトが増加したことも注目したい。従業員、パート賃金の増加傾向から見て、業界の雇用情勢も「売り手市場」であると言えるだろう。

埼玉県のメーカーでは今年に入って例年通りの条件で従業員を複数人募集したものの、応募がゼロだったという。例年は必ず応募の連絡があると言い、同社は人材が郊外から東京五輪に関連した仕事の需要が増えつつある都心へと流れていることを指摘している。人材の新たな確保と流入を防ぐためにも、給与アップをはじめとした人件費の拡大は必要な時期に迫れている。

人材不足を補う対策は各社で講じられている。海外研修生を受け入れて、一部の工程ラインを彼らに任せて、期間を定めたローテションで働けるような体制をとるメーカーがある。日本人スタッフは、品質管理者など責任も給与も高いポジションを任せられるとこのメーカーは指摘する。外注を強化して自社は専用ラインに特化、徹底した自動化と併せて人員を絞り、コストカットした分を給与アップに回して優秀な人材を確保しようとするメーカーもある。

人材は一度失うと育て上げるまでに時間を要する。ある金型メーカーでは、リーマンショック後に経営環境が悪化したものの、「人が一番の企業の宝」だとして人員だけはカットしなかった。現在、その決断が間違っていなかったことを改めて噛み締めているという。

人材確保のために給与アップ以外の対策は講じられないか。ブランド力があり福利厚生も充実しているような大企業と同じ土俵で、人材獲得合戦を繰り広げても中小企業が勝てるはずがない。企業規模がコンパクトな会社だからこそできて、大企業にはない魅力を考えていくべきだろう。例えば「残業が一切ない」「通勤の近い地元の人材を積極的に採用する」などはどうか。こうした対応を柔軟にとれる企業は多いはずだ。

2017/01/02 金属産業新聞