ねじ(ボルト|ナット)・ばね(スプリング)の業界新聞。
金属産業新聞社

文字サイズの変更
ウェブ サイト内

時評

時評 > ねじ

50年ぶりに見直された下請法

日本におけるモノづくりを下支えしている中小製造業が依然“構造変化”に晒されている。先般、本稿でも触れたが中小企業庁の調べでは、1986年に全国で87万あった中小事業所が2006年には約55万に急減、4年前の2012年には約49万にまで減少している。

他方で景況変化に強い中小製造業もあり、成長が見込まれる環境やエネルギー、航空・宇宙、ロボティクスといった分野などに、独自の設計開発能力や高度な基盤技術を活かしているところがあることは確かで、中小連携で新事業分野に挑戦する例も珍しくなくなってきている。しかし、これらはまだ稀なケースで、大多数の中小企業は“苦戦”を強いられている。

こうした危機感から経済産業省や中小企業庁では、地域中小製造業における収益構造など“稼ぐ力”について調査を行う一方、「中小企業等経営強化法」施行(本年7月1日)や、受発注にEDI(電子データ交換)を活用しスマートフォンやタブレット端末による取引実証実験を来春から行ったり、本年10月には「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の一部見直しに乗り出している。

とりわけ約50年ぶりの見直しとなる下請法は本来、不当な下請代金の値引き要請や支払期日の延期などを防止する法律。コスト負担の適正化などを盛り込んだ政策パッケージ「未来志向型の取引慣行に向けて」(世耕弘成経済産業相による通称・世耕プラン)では、支払手形の期間短縮を促し、下請事業者への支払ルールを厳格化するとともに、親事業者には自主行動計画の策定も要請された。

具体的には現在、90日もしくは120日以内(業種により異なる)と定めている割引困難な手形の期間を60日に短縮、下請事業者への支払も原則として手形ではなく現金とするという基本方針である。

安倍政権による経済政策「アベノミクス」の恩恵が、中小企業にまで行き渡っていないとの見方がある中で、今回は“官主導”でなく企業との連携強化に軸足を移した格好だ。既に経済産業省・中小企業庁と公正取引委員会は、3万3000社に及ぶ親事業者と645の業界団体代表者に対し下請取引の適正化を要請。自動車をはじめ自動車部品、電子・情報・通信、繊維など幅広い業界団体との懇談を通じ、自主行動計画の策定を求めている。

自動車や自動車部品をはじめ主たる業界団体は計画策定を表明しているが、産業構造の裾野が広いだけにサプライチェーン全体にわたる取引適正化となると早くも疑問符が付きそうだ。ともあれ世耕経産相による「しつこくフォーローアップする」との姿勢に、期待は高まる。

2016/12/19 金属産業新聞