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亜鉛の暫定排水基準5mg/Lが再延長、5年間で早急な対策を

電気めっき業に対する亜鉛含有量の暫定排水基準である5mg/Lの適用期限が再び5年間延長された。救済期間中での排水技術の整備が求められている。

今年12月10日をもって暫定排水基準の適用期限を迎えていたが、これに先立ち11月15日に「排水基準を定める省令等の一部を改正する省令及び水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令」が交付されて、適用期限が事実上、5年間延長された。

水生生物の保全の観点から平成18年12月11日より、水質汚濁防止法による亜鉛含有量に係る一般排水基準は5mg/Lから2mg/Lに強化されていた。しかしこの基準に直ちに対応することが困難な10業種に対しては、救済措置として5年間の期限付きで暫定排水基準の5mg/Lが維持された。5年後の平成23年12月の見直しでは、3業種に絞られて、暫定排水基準のさらに5年間延長が決まり、この期限が今年12月10日であった。今回の再延長により適用期限は平成33年12月10日となる。特例を受けている3業種は、(1)金属鉱業(2)電気めっき業(3)下水道業(一部)だ。ファスナー製品のめっき処理で主流の電気亜鉛めっきの加工業者は(2)電気めっき業に当てはまる。

排水基準をクリアできないと業務ができなくなることを意味しており、5mg/Lなのか2mg/Lに変わるのかという問題は、亜鉛めっき業界にとって死活問題だ。多くの亜鉛めっきメーカーが、2mg/Lに未だ対応できていないと言われており、もしこの排水基準が強化された場合に操業停止を余儀なくされるメーカーが多発すると予測されている。フィルタープレスと呼ばれる加圧ろ過機で排水を制御することができるが、この設備を導入するためには多額のコストが発生するほか、仮に導入できたとしても実際にこの排水基準をクリアできる確証がないのも、加工メーカーを悩ませているところだろう。都内の一部加工メーカーではいちはやくフィルタープレスの導入を進めて一般排水基準の2mg/Lをクリア維持している企業がある。一方、現行規制に対応できないことを理由に廃業した加工メーカーもある。

環境省の見解では「水質汚濁防止法では、一般排水基準による排水規制を基本」としていることから、特例業種に対しても「速やかに一般排水基準を達成を図ることが必要」としている。一方で今回の再延長については「各業種の特定事業場の排水の排出実態等を踏まえた上」で決定しており「効果的な処理技術の開発を促進するため、関係省庁とも連携」していく考えを示している。引き続き再延長が認められる確証はない。設備導入における国の補助制度にも期待したいところだが、低コストで亜鉛の排水を確実に制御できる設備の早急な技術開発が求められている。

2016/12/17 金属産業新聞