ねじ(ボルト|ナット)・ばね(スプリング)の業界新聞。
金属産業新聞社

文字サイズの変更
ウェブ サイト内

時評

時評 > ねじ

アイデアを形にするまでが新製品開発

11月14日に発行した本紙の「創刊70周年記念特集号」だが、時評子が展示会を取材中の会場内で、取材対象の企業の方が「緩み止めファスナー技術特集」を読んでいるところに丁度遭遇した。話してみると、「緩み止めという一つの目的に対し、多くの企業が様々な方法で取り組んでいる事がよく分った」旨で感想を頂けた。

今回の「緩み止めファスナー技術特集」、改めて考えてみると主に次の方法で分けられる。

(1)おねじのねじ山形状が特殊…従来の規格品と特殊形状にする。意図的にかみ合わせの悪い状態≠作り上げる。(2)おねじ頭部形状を改良…座面を広げて接する面を増やす、振動を母材に伝えない構造にする。(3)めねじのねじ穴形状が特殊…めねじ本体に圧力をかけて潰したり、摺り割りを入れて変形させて狭める。また従来の規格に対し、ピッチ等がずれた≠ヒじ山で締結して固定する。(4)めねじに淵(縁)を設ける…締結してめねじ本体から突き出てきたおねじを抑え込み固定する。(5)滑り止め材を利用…滑り止め材として、おねじに樹脂を融着、樹脂製リングを組み込んだり、広義的には、めねじ内部にスプリングを組み込んでおねじを締める=B(6)特殊形状の座金…締結時に反発力(反作用)が発生するような構造にしたり、2枚重ねでかみ合わせる構造で振動に強い構造にする―。

従来の規格品に対して何か一工夫して、緩み止め≠ニいう付加価値≠追加するべく、どの企業も知恵を絞ってアイデアを出し、試行錯誤の末に製品化している事は確かだ。これら以外にも、誰も想像しえないような緩み止め方法による新製品が今後開発されるかもしれない。

しかし新製品を開発しても、普及するまでには幾つものハードルを乗り越えなければならない。アイデアを形にする…、ひょっとしたら発案(考案)者より以前に数多の人が思いついているかもしれない。しかし、特許等の知的財産が登録済みでないか確認し、実用できる段階まで設計を突き詰めて、そもそも製造可能かどうか試作して、様々な規格・基準における性能試験を繰り返し、設備導入等の量産できる体制づくりを行い、販路確保の為の営業・PR活動を行い、さらに製造・販売が軌道に乗っても知的財産管理は続く…。一瞬で思いついたアイデアも、形にするまでが新製品開発であり、その為には多くの時間・コスト・労力も必要となる。

従来以上を目指し、品質や性能、サービス(手間)という付加価値が追加されている事を理解した上で、ユーザーにはどのメーカーの製品も、どの商社の商品も同じ≠ナはない事を理解して頂き、その企業努力に対する評価が必要な事は、どの産業にも通じる。

2016/11/28 金属産業新聞