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ブランド力を生かした販売戦略を

アメリカのブランディング会社が5日に発表した「世界企業ブランドランキング」トップ100によると、1位はiPhoneの新機種が発表される度に世界が騒ぐApple、2位はウェブを利用するうえでこの企業のサービスのお世話にならないことは無いGoogle、3位は古くから定番のロゴが親しまれているコカ・コーラ、4位はWindowsのMicrosoftと前年から米企業4強の変化はなかった。前年に6位だった日本のトヨタは初めて5位に浮上、アジアのブランドでは首位となった。

ブランドとは何か。広辞苑第六版では、「(焼印の意)商標。銘柄。特に、名の通った銘柄」。岩波国語辞典第六版では「特定生産者による品物(の全体)」と記載されている。ブランドは消費者が数ある商品・サービスから「これだ」と選ぶための手掛かりとなる。この会社の金型が良い、材料はこの会社から購入しないと安心できない、この案件は難しいから、あのメーカーに作ってもらうしかない―。など、消費者から選ばれる全ての企業は、特別な理由は除いて、自社の特色あるブランドによって選定されているわけだ。

一方でブランドは消費者から「選ばれる」指標になるだけでなく、「選ばれない」要因にもなる。「ブランドの失墜」という言葉を耳にするが、不祥事や問題が起きるとこれまで良い印象だったものがマイナスのイメージに転じてしまう。ブランドは諸刃の剣と認識して大切に扱わなければいけないだろう。

このブランドは、地道に仕事を続けながら長い年月を経てのみ形成されるものと思われるが、ブランド戦略という言葉もあるようにブランドの形成はある程度コントロールできる。商標やロゴマーク自体も古くからあるブランド戦略であるし、広告もその基本とも言えるだろう。

筆者は最終ユーザーがその部品のブランドを認識して購入の意思を選択する機会がもっと増えても良いのではないかと考えている。メーカー・商社間では製品や企業ブランドを認識しながらの取引が行われているはずだ。商社の倉庫にも各メーカーの商標の印刷された小箱が並んでいるが、最終消費者がそれを視覚的にも、またブランドそのものを認知しているかと言われればそれは少ないだろう。消費者の購入意識を高めるブランドを前面に出した販売戦略がもっと活性化してほしい。

あるファスナーメーカーは、社名とは別のブランドロゴマークをデザイン会社に委託して制作した。完成品に隠れてしまう、ねじ製品からブランドが自然発生的に形成されるのは難しい。ならば先にロゴマークを作ってしまいブランドを自発的にアピールしていこうという狙いだ。ブランドは全ての企業が背負っている。これを活かすも腐らせるも企業の戦略次第だ。

2016/10/19 金属産業新聞