ねじ(ボルト|ナット)・ばね(スプリング)の業界新聞。
金属産業新聞社

文字サイズの変更
ウェブ サイト内

時評

時評 > ねじ

ロボット政策への期待、機能検証から競技大会まで

政府による来年度経済対策では、先に本稿でも触れたインフラ基盤整備を筆頭に、雇用保険料の引き下げや同一労働同一賃金の実現ほか、保育・介護支援等々、各所管省庁ベースで様々な施策が練られている。この一環として経済産業省を中心に検討されている中に“ロボット政策”がある。同省によるとロボットやIT技術を駆使することで8000億円の生産性向上効果が生まれ、人手不足解消も期待されるとしている。具体的には技術開発の高度化支援やその評価法策定、さらに“東京2020”の注目が集まるタイミングで計画している第1回「国際ロボット競技大会」(仮称)が挙げられる。

ひと口にロボットと言っても、CM上では人や動物に近い形および機能を持つ機械的イメージが強いが、生産・組立・物流現場などではある程度自律的に連続またはランダムな作業を行う自動機械の意味合いで用いられる。ねじ業界では後者の方が馴染み深く、加工機や検査機へのハンドリング&ソーティングロボットや、パレットへのパレタイジングロボットが好例だ。最近では自動車にAI(人工知能)を組み込むことで無人定速走行をはじめ、障害物も人か否かを判断し瞬時に回避行動させる機能まで実現している。

現在では、これら様々な実証実験を通じ機能そのものに対する検証や費用対効果の評価ガイドライン作りの段階に入っている。介護用では対話型や装着型、移動・自立支援(カート)型、見守りセンサーなどを駆使した管理システムタイプまで種々あり、17年度末までに生産性向上や重労働作業の緩和性といった測定基準作りが進められている。

他方「国際ロボット競技大会」は計画によると産業用、サービス用、レスキューの3分野・計10種目で競い合うという。産業用では「製品分解・組立」や「物流」、「食品産業」などを予定し、各種組立や弁当の詰め込み作業などを競技にする。サービス用では「家庭」「コンビニ」「公共」「ジュニア」が構想され、何れも実作業に沿ったロボット化を競う。レスキュー用では「プラント」「トンネル」「規定」の3種目で、災害対応や予防点検作業などを課題にする。

大会実行委員会では16年中に種目・競技内容を正式決定し、▽社会訴求力・発信力、▽研究開発加速力、▽社会実装加速力、▽国際性、▽継続性、▽人材育成性−の観点から審査する方針で、高専や工業大学系対象の既存“ロボコン”やサッカーによる“ロボカップ”などとは一線を画す。

かつてのSF映画では、人間とロボットの交流から共同生活、感情移入まで描かれていたが、一部は既に現実のものとなっている。ロボットとの理想的な共存社会実現に向けたこれらの取り組みに期待したい。

2016/09/26 金属産業新聞