ねじ(ボルト|ナット)・ばね(スプリング)の業界新聞。
金属産業新聞社

文字サイズの変更
ウェブ サイト内

時評

時評 > ねじ

老朽化インフラ倍増へ、保全事業と連携する技術を

首都圏を中心に道路の再開発が進められている。首都高速道路など建設から半世紀を超えて老朽化した道路の補修をはじめ、4年後の東京五輪を見据えてインフラ整備によるアクセス向上を図り、新しい観光都市・東京を世界にアピールする狙いもある。

インフラ再開発の動きは土木関連向けを中心としたファスナーの需要に大きく影響する。東日本の企業だけでなく、西日本の企業もいよいよ本格化する東京インフラ再開発を自社の下半期からの受注に影響する材料として大きく注目している。圏央道や外環道など未開通区間をもつ環状線の整備も本格化してくるだろう。

高度経済成長期に自動車産業の発展とともに道路整備が進められて多くの橋やトンネルが建設された。その後50年以上が経過して維持管理や更新が課題となっている橋やトンネルが増えており、国交省によると20年後に全国で長さ2b以上の橋の約67%、トンネルの約50%がその対象となるという。関東地方だけでも、対象となる国道橋の数は2014年時点で646カ所あるが、10年後の2024年には1335カ所、20年後の2034年には1966カ所に倍増する。本紙では国土交通省が実施する首都圏各地の道路やトンネルなどのインフラ見学会を通してファスナー需要を探った。筆者が参加した国道橋の見学会では、同省は老朽化した橋に関して、架け替えよりも補修・メンテナンスを中心に取り組んで行く姿勢を明かしている。この理由は、45年周期で橋を新規に架け直す費用と、5年から10年周期で補修する費用を比較すると、後者の方が大幅にライフサイクルコストが少なくて済むからだ。

道路法の一部が改正されて、5年に一度、橋の近接目視による定期点検を実施することが定められており、点検から診断、補修や補強、さらに記録するといったメンテナンスサイクルによる予防保全が進められる。ファスナー部品も補修・メンテナンスにターゲットを当てた技術やシステムが求められてくるだろう。緩み止めといったファスナー自体の機能も勿論だが、こうした予防保全事業と連携できるようなハード・ソフト両面を活かしたファスナーシステムの登場にも期待したい。既に一部ファスナーメーカー大手では、橋梁のボルトの緩みをセンサーで無線感知するといったシステムの開発が進められている。

豊洲市場をはじめとした湾岸エリアの開発需要で一部案件を受注しているボルトメーカーの動きがある。都心では道路や電線の地下化工事も進められており、こうした事業をターゲットに土木向けのステンレスボルトの開発を進めるボルトメーカーもある。都心再開発とは別だが、熊本地震で橋の損傷が発生したことによる修理保全の受注が増加しているメーカーもあり、インフラ関連需要は間違いなく動き始めている。

2016/09/21 金属産業新聞