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英国のEU離脱影響と、日本における“選択”の行方

英国の欧州連合(EU)離脱による影響は、日本にも円相場の急騰、一時1300円超の日経平均株価安を招来、日本勢だけでなく英国進出企業に“暗雲”をもたらしている。英国には、日本の3大自動車メーカーはじめ車両インフラ輸出で知られる重電など1000社超が進出、加工・組立拠点を設けており、国民投票以前の調査では離脱が決まった場合、進出企業の2割超が投資・経営計画を「見直す」、もしくは「見直しに向け検討に入る」としていた。また急激な円高進行は企業の収益悪化だけでなく、インバウンド(訪日外国人)の需要減退など国内経済への影響も懸念されるだけに、今後さらに厳しい展開が予想される。

EUは資源争奪回避目的で1952年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が母体とされ、その後67年に西ドイツやフランスなど“大陸連合”6カ国による欧州共同体(EC)発足後も、英国は73年にECに加盟するなど、文字通りドーバー海峡を隔て一線を画してきた。英国は元々、単一通貨ユーロにも、国境検査撤廃のシェンゲン協定にも参加しておらず、EU加盟国の中ではドイツに次ぐ経済大国ながら独自性を貫いてきた経緯を持つ。

今回の国民投票では登録有権者数4649万人、投票率72.2%で結果、120万票以上(3.8ポイント)の差で“EU離脱”を選択した。移民の大量流入に伴う社会保障費圧迫や自国民の雇用減、「過剰な規制を押しつけてくる」割に日本円換算で1兆円を超すEU予算への拠出などに“No”を突きつけた格好だ。

日本の財政当局者は「2年先(離脱協議に要する時間)の話なので…」としたようだが、直接的な打撃がなかったはずのリーマン・ショックですら、日本経済は窮地に追い込まれただけに、G7という“枠組み”こそあるが、もう少し事態を深刻に受け止め何らか打開策を講じるべきではないか。実際、国内総生産(GDP)に対する公的債務残高比率は英国が16年で115%であるのに対し、日本は232%と主要国の中でも最悪で、かつ15年10月に予定されていた消費税率引き上げも1年半先送りされた状況下での財政健全化は、「(アベノミクスの)道半ば」とするには“悠長過ぎる”と思うのは時評子だけだろうか。

折から日本では第24回参院選が公示され選挙戦に入っている。今回は、欧米並みに選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が施行され、初の選挙だけに“若者票”を含む浮動票への各党の取り込みも焦点となる。冒頭から記したようなグローバルリスクが漂う中では、早くも経済に強い(とされる)与党優勢が伝えられているが、憲法改正の是非を含め、果たして日本国民の選択は…。

2016/07/04 金属産業新聞