ねじ(ボルト|ナット)・ばね(スプリング)の業界新聞。
金属産業新聞社

文字サイズの変更
ウェブ サイト内

時評

時評 > ねじ

社会の安全は経営環境の財産

5月26・27日の三重県伊勢で開催されたサミット及び4月から日本国内で開催されている各分野の閣僚会合の影響で、5月下旬は各地でテロ対策として警備体制が敷かれていた。

時評子も東京・神奈川を取材で巡っていると、イベント会場では普段と違い出入り口に警備会社のガードマンが立っていたり、人通りの多い場所や不特定多数の人が出入りする場所には「特別警戒中」と書かれた看板や、街中では巡回する警察官をよく見かけ、駅ではゴミ箱の撤去はもとより自動販売機やコインロッカーまで停止されていた。

気になって或る公共交通機関の広報部門に問い合わせたところ、「自動販売機やコインロッカーの停止は、行政からの勧告はあったが、あくまで自主的なもの。乗客・利用者の安全の為に行っており、営業せず利益が発生しない事に対する補填等は無い」旨説明があった。

サミット開催地には宣伝効果もあり、開催前後から話題となって土産物がよく売れたり、今後は海外からの観光客が増加する等の経済効果も期待できる。

しかしその一方で「安全」の為に、いつも以上に警備員の人員や見回りの回数を増やすとそれだけコスト≠烽ゥかり、さらに本来通常業務で得られるはずだった利益が得られないという、プラスではなくマイナスとしての経済効果も発生している事も忘れてはならない。

だからと云ってその対策を疎かにすれば、万が一の時にそれ以上の損害(コスト)が発生し、削減できない必要な支出だ。

日本で警備業≠ニいう業種が確立されたのが昭和30年代後半(1960年代前半)だが、それ以降、治安の良化・悪化に関わらず時代を経て世間的に認知され、どんな事業を行う上でもセキュリティの重要性は当たり前となっている。

安全の為≠ニ云う名の下、経済活動・利便性が損なわれる事は多々あり、逆を云えば治安の良さ=安全の為のコスト(金銭だけでなく時間・労力も)をかけずに済む社会≠ニ云える。これはテロだけでなくあらゆる防犯、さらに人災・天災両方の防災にも通じる。

そう考えれば「防災対策は生命と財産を守る」の言葉通り、地域に住む住民の人命を守るだけでなく、住民の生活環境・事業者の経営環境という広い意味での財産に対する安全確保であり、その地域の経済的価値を安全という付加価値で高める事ができる。

度重なる自然災害をきっかけに企業経営の上でBCP…事業継続計画が注目されるようになったが、事件・事故、天災・人災の不安要素が少ない環境で事業が行えるという事は、直接数字にはならないが一つの財産だ。

2016/06/14 金属産業新聞