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採用や物価上昇にみる、ヒト・モノ・カネの需給バランス

今号の本紙掲載の「平成29年度新卒者採用状況調査アンケート・平成28年度従業員採用状況アンケート(東日本地区)」結果では、新卒人材の獲得において人材難が高卒にまで波及し、地方より関東圏・中小企業より大企業を選ぶ傾向が顕著になりつつある。アベノミクス以降、少なくとも景気の悪化は食い止められたようで風向きは変わり、労働力の供給に対し需要が上回る売り手市場≠ノなった一つの表れといえる。

その一方で景気回復の表れか?鉄鋼メーカーの価格改定(上昇)を受けて、ねじ・ばねの素材である線材価格も改定発表もしくは既に改定されたと、時評子は取材・会社訪問時に各方面で確認している。鉄鋼メーカー→線材メーカー・商社→ねじ・ばねメーカー→ねじ・ばね商社→ユーザー→中間を経て最終消費者…と、価格改定が順々に転嫁できれば良いのだが、この「価格改定のお知らせ」という伝言ゲーム≠ェ上手く行かずに誰かが割を食う≠フは望ましくない。

資産、特に経営資源としてヒト(労働力)・モノ(土地・建物・設備や備品等)・カネ(金銭・有価証券等)とは云われるが、今はカネ不足からヒト・モノ不足へ切り替わっている過渡期なのだろう。戦後直後のモノ不足の時代から高度経済成長期を経てモノ余りとなり、バブル崩壊以降はデフレというカネ不足で日本経済は推移してきた。途中にオイルショックや東日本大震災で一時的にモノ不足を経験してきたが、少子高齢化の影響で今度はヒト不足が深刻化している。

しかし経済発展を経て以降、出生率が下がりいずれはヒト不足になる事は分かっていたはずなのに、昨今言われている保育園不足や育児休暇取得等の子育て支可境の不備、さらに大元として若者達に子供を産み・育てられる経済的余裕を持たせられなかった、行政・民間含む社会全体が、ヒトに対しての価値を見出してこなかったのでないか?

モノは備蓄や複数の調達ルートにより対応し易い。カネは金の含有率を落とす貨幣改鋳と同じく価値=ありがたみ≠ェ薄れる恐れもあるが、輪転機を回せばすぐに大量に出来る。しかしヒトは学習・経験を積んで労働力たりえるまでには、手間・時間・費用が掛かりすぐには調達できない。

長期的に見ればヒト・モノ・カネの三要素は、相互に安定需要が無ければ安定供給は実現せず、健全な経済発展は難しい。またヒトあっての組織(集団)であり、国同様に企業も何もしなければ平均年齢は自然と上がり、人数は減少していく。今後ねじ・ばね業界だけでなく多くの企業が今以上に、人材の質(実力)・量(人数)両面での確保が、経営面で重要となってくる。

2017/04/17 金属産業新聞