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祭の精神

某バラエティ番組の「世界各地の変わった祭を体験」する企画でヤラセ疑惑が浮上した。事実だとしても、ひょっとしたら100年後に「100年前に日本のテレビ番組がきっかけで始まった伝統的な祭」となっているかもしれないが、今の時点では伝統のカタリ≠セ。

一方で10月下旬に渋谷であったハロウィンの暴動と云っていい騒ぎ。経済効果も期待されていたが実際には近隣の店舗で商品購入も少なく、備品が破壊される等の被害や翌日の片付けによる手間だけでなく、さらに当日は危険と判断して普段の客が来なくなる事を考えればマイナス経済効果の方が大きく、一説には渋谷区及び周辺での在住・在勤の人々以外が遠方から来て騒いでいるだけの構図―のようだ。

伝統的な祭りでも同様だ。今秋社内の行事で浅草見物をして人力車に乗った際、車夫に三社祭について聞くと「『神輿に乗ってはならない』規則が度々破られる」、「普段から崇敬している地元住民は乗らず、乗るのは大概外部から来た担ぎ手」らしい。

前述のハロウィンも本来は月見や新嘗祭と同じ収穫祭の意義を持ち、時代に合わせ伝統も変容していくのは当然だが、本来の主旨・精神から乖離・放棄してただ騒ぎたいだけ―となっている。

これは今度の東京オリンピックにも通じる。古代オリンピック精神に倣った近代オリンピックも商業オリンピックとなり、開催決定前は「アスリートファースト」と云っていたはずが「ビジネスファースト」、しかも「経済効果が広く波及する」と云いながら夏の猛暑を無視した開催スケジュールや競技場の冷房設置見送り等の経費節減、さらに無償ボランティア頼み、そして設備・備品も安い外国製を使用して国産品の比率も低いようで「主催達にとってのビジネス(金儲け)ファースト」の様相を呈している。

何かをきっかけに人が集まる際、物・金、そして情報も集まり交流・経済活動が発生するのは副次的な効果だが、そこに本来の精神・主旨が伴っているだろうか?

逆に経済活動が目的の展示会ではどうだろうか?出展目的も、(1)取引の話をする商談、(2)今後の取引のきっかけとなるべく技術・製品紹介、(3)離れた地域同士等で普段なかなか会えない業者同士の交流の機会、(4)取引につながらなくても、知ってもらう事での知名度向上―等があるが、展示会によっては業者と一般消費者が混在して来場して分野(客層)が広すぎる展示会もあり、(1)(2)(3)が目的の場合は来場者の数よりも、技術・製品の良さを分ってくれる業者の比率が重要―と考える出展社も多い。その一方で(4)が目的ならば、一般消費者は多い方が良く、展示会の開催主旨・概要は重要だ。

祭でもイベント・展示会でも本来の精神(主旨)は大切だ。

2018/11/26 金属産業新聞