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即解決は難しい、人口・労働力不足の課題

新元号となって早1カ月、「令和(れいわ)」と発表の際に時評子は「昭和(しょうわ)」のように「わ」と読まず、かつて「元和(げんな)」という元号もあったので「れいな」「りょうな」「りょうわ」と読み方に戸惑った。この「元和」、「元和偃武」が由来で大坂の陣後に徳川家康が朝廷に働きかけ改元し、戦国時代の終結宣言、武断政治から文治政治への意思表示の意味もある。現在NHKで大河ドラマ「葵徳川三代」が再放送されているが、天下泰平の世となるにつれ戦が無くなると武士の働き口が減り、また軍人としてよりも政治家・官僚(役人)としての面を求められるようになって、大坂の陣や島原の乱が起こって浪人対策が必要となる場面が度々描かれている。

江戸時代に人口約100万人の都市となった江戸は繁栄していたが、このような言葉もある「江戸は諸国の掃き溜め」…、地方で仕事が無い人が働き口を求めて都市部に流入していった表れでもある。余剰人口(労働力)対策、地方から都市部へ、戦前の日本のような人口余剰国から中南米やハワイのような他国・地域へ、そして最近では地域間の移動ではないが、世代・年代間で「氷河期世代」が国内で働き口がなく、労働力調整=雇用の調整弁として非正規雇用等で正規雇用に就けない状態となっていった。しかし今になって人口減少により多くの企業が「技能を持った人材が欲しい」と人手不足に悩んでいる。

「氷河期世代」を「人生再設計第一世代」と言い換えて今後予定される教育・能力開発等での就業促進策の拡充の他にも、顕著な例として法務省は昨年7月から、中南米をはじめとした「日系4世の更なる受入れ制度=4世ビザ(在留資格)制度」を行っている。目的は両国の「懸け橋の育成」とされており、懸念される「労働力不足の解消」目的への対策条件として国内の親族やホストファミリー等による身元保証がある場合に限って、1年毎の更新で最長5年間在留できるビザ発行を行っているが、見込んでいた4000人に対し3カ月間で発給されたのは数件に留まっている。

背景としては4世ともなると生活基盤が確立され、国内の親族と云っても面識が希薄となり、文化・生活習慣も違う点。かつてのバブル期の人手不足で受入れた2世・3世が製造業を中心に日本経済を支えたが、リーマン・ショックで雇用の調整弁とされた事があり、日本での就業に消極的となっている事が推測される。

施設・設備は資金があれば、資金は融資で工面できても、人口・労働力は一朝一夕には調達できない。政治経済の変化が早くても、人口・労働力は需要・供給にすぐには対応できないのが世の常だ。

2019/06/10 金属産業新聞