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2019年、各国通貨予想

2019年の国際経済は「世界同時株安」という突然の波乱で幕を開け、その後も各国政局の迷走によりさらに不透明な状況が続いている。主要通貨の動向、そして日本への影響を探ってみると、いくつかの今年を占うキーファクターが見えてくるようだ。

まずアメリカドルは、12月以降国内政局の分裂に伴う政府機関閉鎖、そして「米中貿易戦争」の激化に伴う強硬措置により下落が続き、12月中旬の1j=113円台から1月初頭には1j=107円と、半ば「暴落」と呼んで差し支えない状態となった。1月26日にはトランプ大統領が議会に譲歩、政府機関を一時的に再開させる「つなぎ予算案」に署名したが、これも2月15日までの限定的な効果しか持ち得ない。同大統領が自らのプレゼンスを犠牲にしてさらに大きな譲歩をなしえない限り、「下げ止まり」の状況は続くだろう。日本でも政府需要の停止による同国経済の冷え込みにより、輸出の減少が懸念される。

イギリスポンドも同様に危機的状況にある。同国のEU離脱問題(ブレグジット)に関する交渉難航と、国内政局をコントロールしかねているメイ首相の手腕に疑問が持たれ、1ポンド=148円台だった昨年11月から下落が続き、1月初頭には1ポンド=138円台まで大きな下落を見せた。以降は離脱協定修正の動向が、対EU関係に対するソフトランディングにつながるだろうという期待が持たれ、29日までには1ポンド=144円台まで回復したものの29日、議会はさらなる要求をEUに求める離脱協定修正案を可決。再び下がり傾向に入りつつある。これより先、ブレグジット問題の動向次第でこのような通貨価値の乱高下が続くと考えると、経済の安定による大型需要は望めないと考えるのが自然だろう。日本の対英輸出は今年伸び悩む可能性が高い。

一方ユーロは安定を続けるだろう。米中貿易戦争のあおりによる、昨年12月の通貨下落の影響から逃れられず、昨年12月初頭から1月初頭にかけては1ユーロ=128円から1ユーロ=122円への下落を余儀なくされたが、現在は1ユーロ=125円で安定。現状に至っている。マイナス要因としては、フランスで続く抗議運動、予想を下回るGDP成長、輸出先市場の景気低迷などが挙げられるが、それでもEU経済はブレグジットに対して強気を示し続けている。日本とはEPAを1月14日に結んだばかりのため、今年は貿易相手としての成長が望まれるだろう。

最後に中国人民元について。米中貿易戦争での執拗な攻撃により、12月中旬から1月上旬にかけ1元=16・5円から1元=15・7円まで値下がりしたがそれ以降は安定回復傾向だ。原因としては安定した経常収支、米中交渉で見せている譲歩姿勢などが挙げられ、日本との貿易は今年は横ばいとなるであろう。

2019/02/15 金属産業新聞