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アイデンティティ、人や製品に示す必要

7月27日に蓮舫氏が民進党代表を辞任した。辞任の際にかねてからの中華民国(台湾)と日本との二重国籍問題が原因と発言は無く、この問題への批判に対して同氏は「出自(人種・民族)への差別」と反論していたが、問題なのは「出自や二重国籍のままであった事」よりも帰化する際に二重国籍を認めていない日本において、「有権者に対し『日本に帰化済み』を公言して選挙で当選し、議員であり続けた事」のはずで、今度の参議院議員選挙で有権者からはどう仕分けられる≠フだろうか?

我々業界紙も報道(マスコミ)だが、森友学園問題の際に一般マスコミは学校の様子として、子供達に自分達を「日本人」ではなく、この言葉も定義自体が難しいが「日本民族」と教育している点を殊更強調していた。あれは極端かもしれないが、一方で2014年のノーベル賞では「青色発光ダイオードの発明」において受賞者3名の中に日系アメリカ人の中村修二氏が含まれているのに「日本人3名」とあり、そろそろ人種・民族と国籍を混同するのはやめるべきで、情報の受け手、さらに日本社会全体がこの認識に改めなければならないのだろう。

後に日本列島と呼ばれるユーラシア大陸東側で、旧石器時代に獲物を追っていて、何世代も歳月を経て後ろを振り返ってみたら海面が上昇して隔絶された人々。列島が形成された後に、新天地を求めてか漂流かは分からないが「名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実一つ」と一緒に黒潮に流されてきた人々…。「人類の起源はアフリカ大陸」と言ってしまえばそれまでだが、どこからが日系人(日本人)なのか?

近代以降では、逆に海外に行った例も多くある。戦前の日本はハワイや北米・南米、さらに満州にも移民を送り出していた。第二次世界大戦時に一部の日系アメリカ人は、アメリカに忠誠を誓いアメリカ軍人として戦地に赴き、ペルーでは、アルベルト・フジモリ氏が大統領にまでなっている。

製造業では日系企業の海外での現地生産が進んだが、人だけでなく金属加工品一つにしても、何処の鉱山で発掘して、何処で精錬して、日系企業が何処の国で現地従業員の手で加工して…と考えればキリがないが、「日系企業が何処の国で製造」という点はしっかり示さなければならない。

物・金・情報だけでなく人の移動も増加し、日本国内にいても外国人と接触する機会が増え、アイデンティティ(自己同一性・個性)を考える必要に迫られる昨今。国際交流というと仰々しいが、やり取りする上で英語をはじめ外国語を話せる事も重要かもしれないが、少なくともアイデンティティを認識して、その上で自国・世界各国の文化的・社会的背景を学ぶ事も重要だ。

2017/08/07 金属産業新聞